手足のないチアリーダー

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「ワン・ツー・スリー・GO TIARAS(ティアラーズ)」

遠くから大きな声が聞こえてきた。正面玄関からだ。

「ねえ、ねえ、チアが練習してる!!」

めっちゃ足高く上がってる!!

やっぱりあの笑顔、すごい!!

 

じっと見ていると、しおりとあやこが言った。

「うちらチアに入ろうと思うけど、あみも入ろうよ!」

「うち、車イスだし、ムリムリ。ムリムリ」

仲良しのふたりは、チアに入部することを決めた。

 

目の前では、真剣な練習が続いていた。

「あんた、なに聞いとんの!? そんなんできんなら、もうやらんでいい!!」

先生の激しいゲキが飛ぶ。

華やかで派手なイメージを想像していたけど、全然違う。

やりがい、あるだろうな・・・。でも私はあきらめないと・・・

 

ムリとはわかっていても、先生に聞いてみようか悩んでいると、あやことしおりが、

「先生に聞いてみれば」

と背中を押してくれた。

私は顧問の加藤美紀子先生に近寄り、恐る恐る声をかけた。

「あの・・・、私でも入れますか?」

すると先生は、少しの間もおかずハキハキとした口調で聞いてきた。

「あなたのいいところは何?」

私は、思いもよらない言葉に驚いてちょっと考えた。

 

私のいいところってなんだろう——

 

思いつくのは、ひとつしかなかった。

「笑顔と元気です!!」

思いっきり歯を見せて笑いながら、大きな声で答えた。

 

「じゃ、大丈夫だね。明日から来れる?」

耳を疑った。またしても意外な言葉に、すぐに返事ができなかった。

「えっ、私でもいいんですか!?」

車イスの私なんて、断られるとばかり思っていたから。

「なんで? あなたチアに入りたくて聞いてきたんじゃあないの?」

「でも、あたし、こんな体なんですけど・・・」

「あははっ、見ればわかるってば。本当にやりたいと思うなら、明日からおいで」

「はいっ!!!」

先生は、豪快に笑うと、すぐに厳しい顔に戻った。

 

私は、心のなかで跳び上がった。

やった、私チアに入った、チアに。私でもチアに入れたんだ!!

 

入部したって、何ができるかわからない。高く上げる足も、突き上げる手も私にはないのだから・・・。

それでも、受け入れてくれたという事実がうれしかった。

(原文ママ)

 

 

佐野有美(さのあみ)さん1990年4月6日生まれのたいへん素敵なレディーの自伝です。

 

まったく、面識も接点もありませんが、とても感動し勇気をもらえた本なので一文をご紹介しました。

とてもとても素敵なご本なのでぜひ読んでください。90分もあれば読めますから。

 

 

以前にテレビで放送された動画も貼っときますね。

 

 

 

 

 

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